GW中、イラストを描くのに島にバスとフェリーで一人旅。

バスで約2時間。大崎下島で降りてフェリーに乗り大崎上島へ。

ちょうどお昼になったので、最初に着いた明石港の切符売り場で、「この近くに食べるところはありますか?」と訊いてみると潔い返事が返ってきた。
「ここにはないのよ。」
ない?!なんて潔いんだ!ちょっと歩くようになるよ、とかではないんだな。(笑)
旅の楽しみで島に行けば『さしみ定食』的なものがあると勝手に思っていた。
港の切符売り場には飲み物の自販機があるだけで売店はなかった。島の方が数名。ここは憩いの場になっているようだ。「20分したら船が来るからそれに乗って木江に行かれたらいい。」親しみやすい笑顔で教えてもらった。「その間、ぐるりまわっておいでませな。」おいでませな、という言葉が優しかった。同じ広島でも竹原のあたりはこんな感じなのだと思った。
時間になって戻ってくると「いいとこあった?」また笑顔。切符売り場を離れて桟橋までついてきて下さり、高速艇の船員さんに何か言付けされている。後で私が降りる港を間違えないように(天満港は2つ目)告げて下さったのだとわかった。親切だなあ。

「恥ずかしいから撮らないで~もう80なんだから~。」
木江(天満港)に着いた。


黄砂のせいかこの港も人は少ない。先ほどいただいたマップに記載の食堂の場所を訊くと、「あそこやめたんよ。」今日はお昼抜きになるな、と思ったら「この先海岸沿い歩いたらお好み焼き屋があるよ。」軽自動車の女性が教えてくれた。
広島から島に来て広島風お好み焼きを食べることにしよう。(笑)朝も抜いてきたし。
小さなお好み焼き屋からは笑い声がしていた。常連らしきおじちゃん三人がこの昼下がりにいい感じにほろ酔い。GWだもんね。何か自分がドラマの中にいるみたいな出来上がったキャラ。おしゃべりな気のいいおじちゃん、シャイなおじちゃん、物知りなおじちゃん、三人を巧みにかわすマドンナのようなおばちゃんが店主。
焼き上がるまでにおじちゃんが自分の頼んだゆで卵のうち一つをくれた。「ビール飲むか?」「いえこの後見にいくとこがあるんで。」「なんでこんなとこに一人で?」会話が始まった。そりゃ不思議かも。

お好み焼きが焼き上がると、おじちゃんが「じゃあコレ」と言ってコーラを出してくれた。お好み焼きとコーラというチョイスはこどもの頃からしたことがない。いろんなことが愉快だった。お腹はMAXになったけど。(笑)
結局、お好み焼きもごちそうになった。おばちゃんが「ええんよ。おしゃべりに付き合わされたんだから。」おとなしい方のおじちゃんも「花が咲いたみたいでええ。」と言ってくれた。(こんな私でも?)お礼を言ってサヨナラをした。
この港に来る船は二時間後だという。循環バスに乗ってもう少し大きな港に行くことにした。絵を描いたり、写メしたりして木江を味わいバスを待っていると、さきほどお好み焼きをごちそうしてくれたおじちゃんが自転車でやって来て「これ帰りに。」と缶コーヒーをくれた。さては旅の女に惚れたのか?いやいや親切です。この辺り。

ご褒美ブレイク(笑)
島で不思議な時間が過ぎた。循環バスが「おとひめ号」なのも何となく頷ける。
日本のどこかで私を待ってる人がいる~かも、なんてね。
バスに揺られながら普段は忘れている『いい日旅立ち』が頭の中で流れる。
近くても「旅」だったなあ。